軽減税率導入で想定されるコスト
平成28年度の税制改正において、消費税の軽減税率の対象品目として、「酒類」と「外食」を除いた食料品と、週2回以上発行される新聞の定期購読料が挙げられています。
この「外食」の定義については、いまだ分かりづらいことと、まだ課題が残るため、これから1年掛けて検討が続くようです。
軽減税率は課税処理する側からすると、とても手間(コスト)が掛かります。
経理処理する場合、8%、10%、そしてしばらくの間は5%と、3つの税率が取引ごとに混在するのです。ひとつずつ確認しながら処理することは、とても手間の掛かる仕事です。
例えば、コンビニで事業者が買い物をしたときには、商品ごとに8%と10%が混在するため、それぞれを分けて経理処理しないといけなくなります。
一方、店舗側では、それらを分けて領収書やレシートを発行しなければならないこととなります。手書きではほとんど対応不可能ですので、レジなどを買い替えるなどのコストが掛かることとなってしまいます。
軽減税率は、消費者にとっては少しだけやさしい制度かもしれません。一方、消費税を徴収する事業者にとっては、とても手間(コスト)が掛かる制度なのです。
また、消費税が10%に上がった際に懸念されるのが、これまでは免税だった事業者が、課税事業者になってしまうケースが急増することです。
消費税が5%の時代は、税抜きで約952万円の売上までは免税事業者でした。これが8%になってから、約925万円まで引き下がりました。10%になると、これが約909万円まで下がるのです。
これは、免税事業者の判定が、税込金額で1千万円を超えているか否かの判定となっているためです。
この金額を超えると課税事業者となり、急に税負担額が増えてしまい、手取りが減ってしまうので、気を付けないといけなくなります。