近年増加する社員の精神疾患。「休職」のルールは整っていますか?
「A君はどうしたの? また休んでいるの?」
「はい、うつ病が重たいようです。今日は休むという連絡が入りました」
近年、精神疾患を理由として休職する社員が増えています。そのような社員に対して、会社としてどういう対応ができるでしょうか。
会社のルールである就業規則の規程がどうなっているかが重要となってきます。
業務上や通勤上のケガや病気は労災として扱います。労災が適用されますと、治療がケアされますし、仕事を休んだ場合は、4日目から保険給付が行われます。
そうではないケガや病気は、健康保険で治療してもらうことになりますが、働くことが困難な場合が生じます。従業員さんの理由で働くことができずに休むことを、休職といいます。
この休職については、労働基準法で特に定めがありません。会社は従業員さんに休職を与える必要がありません。
労務の提供が行われていないので債務不履行です。労働契約の解除をするのかどうかという話になります。
しかし、一般的には就業規則などで休職の規程が行われていますので、直ちに辞めてもらうという話にはなりません。どのような休職の定めをするかは会社が決めることだけに、慎重に定める必要があります。
多くの会社が、休職を労働者の権利のように規程しています。就業規則に定めた以上、それが適用されます。
うつ病などの精神疾患の場合は、繰り返し休職することが起こりますが、それを容認する内容の場合は、一緒に働いている同僚のモチベーションに影響が出ることが予想されます。
繁忙期に休んだり、遅刻早退が許されているのを見ていると、やる気がわいてきません。「自分も同じように休めないか」と考え始める従業員も現われる可能性があります。
実は、休職の問題は、休むときよりも復職するときの方が重要となります。
休職中の従業員としては、「生活のためにも稼がないといけないので、早く復帰しよう」と焦るケースが多いです。
完全に治っていない状況での復帰を許してしまうと、さらに病状が悪化する危険性があります。その病状の悪化は、会社が原因と認められてしまうかもしれません。
就業規則などを見直して、近年増加している精神疾患にも対応した会社ルールを作成しておくと安心です。