法人税の申告が間に合わないときは期限の延長を申請しよう!
法人税は、事業者が自ら税務署へ申告を行い、確定した税額を納付する仕組みがあります。
納税に関しては、法人税法により、事業年度終了日の翌日から2カ月以内に申告を行うように定められており、税金の納付期限も2カ月以内と決まっています。
この期間を過ぎると、加算税や延滞税などのペナルティが課される可能性があります。
しかし、申請をすれば、申告の期間を延長できる場合があります。
今回は、法人税にまつわる申告期限の延長について解説します。
自然災害などの事情があれば期間延長も
法人税の申告と納付は、原則として事業年度終了の日の翌日から2カ月以内と決められています。
ただし、申告期限及び納付期限の最終日が土日もしくは祝日の場合は、その翌日が期限となります。
納税者はこの期限内に申告する必要があり、もし、期限内に申告するのを忘れてしまったら、できるだけ早く申告しなければなりません。
申告期限を過ぎてから申告することを『期限後申告』と呼びますが、期限後申告は本来納めるべき法人税のほかに、無申告加算税や重加算税を課せられてしまうことがあるので注意が必要です。
ただし、納税者にも、自然災害などのやむを得ない事情で申告や納付できない場合があります。
このように、納税者に責任がない事情で納付が遅れるケースでは、国税庁が被災地域と期日を指定し、申告と納付の期間を延長することがあります。
これを『地域指定による期限延長』といいます。
地域指定による期限延長で国税庁から指定された地域の事業者は、特に期間延長の申請手続きなどをする必要はなく、納付期間が延長されます。
地域や期日は指定され次第、官報に掲載されるので、該当する被災地域であればチェックしておきましょう。
ただし、地域指定による期限延長は、指定地域に納税地のある納税者に限られます。
たとえば、指定地域内に事業所があったとしても、納税地が指定の地域外であれば、地域指定による期限延長の適用を受けることはできません。
また、災害ではなく、国税庁のシステムが使用不能になったなどの理由があれば、国税庁が対象者の範囲と期日を指定する『対象者指定による期限延長』が行われます。
さらに、地域や対象者ではなく、個別に指定される期限の延長もあります。
『個別指定による期限延長』では、災害などのやむを得ない個別の理由がある場合、延長申請の承認を受ければ、その理由の収まった日から2カ月以内に限って申告と納付の期限が延長されます。
申告期限の延長の特例で1カ月延長が可能に
ここまでの説明は、やむを得ない事情があって期限を延長せざるを得ないケースでした。
これ以外にも、会社の運営上の事情など、公的にやむを得ない理由でなくとも延長できる『申告期限の延長の特例』があり、申請すると申告を1カ月延長することができます。
株式会社では、通常、株主総会を開き、株主から決算書の承認を受けて確定申告を行うことになります。
しかし、会社法では事業年度終了の日の翌日から3カ月以内に株主の権利行使ができると定めており、法人税法の事業年度終了の日の翌日から2カ月以内に申告を行うという決まりとは、ズレが生じてしまいます。
もし、株主総会の開催が事業年度終了の日の翌日から2.5カ月後であれば、申告には間に合いません。
そこで、特例として、申請を行えば申告期限の延長が認められています。
特例を受けるにはいくつか条件があり、一つは、定款に『定時株主総会を事業年度終了後3カ月以内に行う』と記載されている必要があります。
定款に記載された定時株主総会の開催時期は会社法よりも優先されるため、定款で開催を2カ月以内としているのであれば、記載の通り2カ月以内に定時株主総会を開かなければならず、延長を受けることはできません。
また特例の適応には申請が必要で、事業年度終了の日までに『申告期限の延長の特例の申請書』を所轄の税務署に提出する必要があります。
審査を経て承認されることで、1カ月の延長が認められますが、納付については延長されないため注意が必要です。
事業年度終了日の翌日から2カ月以内に納付しないと利子税がかかるので、延長が認められた上で、2カ月を過ぎて申告する場合には、概算の納付税額を計算して、見込みの金額で納付することになります。
見込みの納付額と確定額に差額がある場合は、その差額についての納付もしくは還付を受ける手続きも必要になります。
忙しくて書類が作れないなど、申告や納付が期限内に終わらないことが予想できる場合は、あらかじめ専門家に相談するなどして申告期限の延長を検討しましょう。
※本記事の記載内容は、2022年9月現在の法令・情報等に基づいています。