職場の環境整備が人材不足解決の糸口に 人材育成に取り組み、生産性向上を
コロナ禍を経て、業績を回復させている企業も多いなか、依然として根深く続く人材不足の問題に、
企業も真剣に対策を講じています。特に、職場環境の整備に積極的に取り組む企業は人材の採用・
定着の奏功がみられます。その実態を掘り下げてみましょう。
コロナ禍後も続く深刻な人材不足職場の環境整備が定着のカギに
中小企業庁の『2024年版「中小企業白書」』によると、コロナ禍後の人材不足が深刻化しています。労働力を補ってきた女性・高齢者の就業者数も頭打ちとなり、有効求人数と有効求職者数を比較しても有効求人数が有効求職者数を大幅に上回り、完全な「売り手市場」の状態が続いています。
人材不足の対策として、「職場環境の整備」に積極的に取り組んでいる企業ほど人材の採用、定着に成功している傾向にあります。職場環境整備を「積極的に行っている」企業で「従業員が増えている」と回答したのは5割に迫る一方、環境整備を「行っていない」企業は2割弱でした。職場の環境整備の有無で、従業員が増加したと回答した企業の割合に2.5倍以上の差が出ています。
人材育成に取り組む企業ほど定着や売上増・生産性向上に成果
白書では、人材育成の取り組みを「増やした」企業は「増やしていない」企業と比べ、中核・業務人材が定着している傾向がみられ、人材育成が人材定着に寄与する可能性を示唆しています。また、人材育成の取り組みを「増やした」企業ほど、売上高、労働生産性が共に増加している傾向にあり、人材育成が業績の向上につながる可能性がみてとれます。職場環境の整備や人材育成は、企業が抱える問題を解決する糸口になるでしょう。
労働者の働き方は実に多様化しています。旧態依然とした労働環境に固執していると求職者から支持されにくい企業になってしまいかねません。人
材確保や定着に課題がある企業は、こうした取り組みを参考にしてみてはいかがでしょうか。