企業倒産件数は9年ぶりの9,000件超え 負債総額も2年連続2兆円超に
2023年度の全国企業倒産件数は9,053件と、9年ぶりの9,000件台でした。これまで国の経済対策でしのいできましたが、 コロナ禍以降、一旦落ち着いた倒産件数も増加傾向を見せはじめました。今回は『全国倒産企業状況』のデータを紐解いていきます。
歯止めのかからない倒産件数負債額数千億円超の大規模倒産も
株式会社東京商工リサーチが発表した『全国企業倒産状況』によると、2023年度の全国企業倒産件数は9,053件で、前年度比31.58%増でした。倒産件数が9,000件台に達したのは実に9年ぶりです。産業別倒産件数では、2年連続で10産業すべてにおいて前年度を上回っており、特にサービス業他(3,028件)、建設業(1,777件)、卸売業(1,048件)、製造業(1,006件)での影響が顕著に現れています。負債総額を見ると、2023年度は2兆4,630億7,800万円(前年度比5.96%増)と2年連続で前年度を上回りました。負債総額が数百億、数千億円規模の倒産企業も存在するものの、依然として小規模倒産を中心に推移しているようです。
ほとんどの倒産要因は『不況型』コスト高などへの対処が急務
倒産要因を読み取っていくと、販売不振をはじめとする『不況型倒産』が全体の84.3%を占め、15年連続で80%台となっています。円安基調が続くなか、資材などの仕入コストや人件費の上昇は続き、価格転嫁が進まず資金繰りに影響している様子がうかがえます。また、どの産業でも人手不足が大きく影響しており、特に運輸業では労働時間の上限が規制される2024年問題があり、今後も厳しい状況が続くものと見込まれます。東京商工リサーチは今後の金利上昇次第で「夏場以降に一段と倒産が増加する可能性」を示唆しています。 今後の動向を注目しつつ、資材調達先の見直し、計画的な人材確保、有利な条件での資金調達など、対策を講じる必要があるでしょう。