企業の雇用動向は改善し入職超過の状態 業界によっては人材定着に深刻な課題
厚⽣労働省「令和5年雇⽤動向調査結果の概況」では、コロナ禍も落ち着き雇⽤状況も改善の兆しが⾒えてきました。ただ、業種によっては依然として⼈材の定着に悩む企業も存在します。⼈材を定着させるために、企業はどのような対策をとればよいのか考えていきます。
雇⽤の状況が改善し喜ばしい⼀⽅ ⼈材の⼊れ替わりが激しい業界も
「令和5年雇⽤動向調査結果の概況」によると、令和5年1年間の⼊職者数は8,501.2千⼈、離職者数は7,981.0千⼈となり、⼊職者が離職者を520.2千⼈上回る結果となりました。前年⽐でも、⼊職率が1.2ポイント、離職率が0.4ポイント上昇し、⼊職超過率は0.8ポイント拡⼤しています。
男⼥別では、男性の⼊職率が14.3%、離職率が13.8%、⼥性の⼊職率が18.8%、離職率が17.3%で、共に⼊職超過となっています。全体的に労働市場の動きが活発化している⼀⽅で、⼈材が定着していない業種もあります。特に、⽣活関連・飲⾷サービス業や宿泊業、医療福祉サービスでは、⼊職率も離職率も⾼く、⼈材の⼊れ替わりが激しい状況がうかがえます。
労働者の流動性を⾒据えたうえで⼈材定着には離職率の改善が必要
⼈材を定着させるには離職率が⾼まりやすい要因を分析し、改善していく必要があります。たとえば、サービス関連業界や医療福祉業界は、24時間体制や⼟⽇祝⽇の営業により、従業員のライフスタイルが確⽴しにくく、接客対応などでストレスがかかりやすい環境が考えられます。削減できる業務を洗い出し、労働時間や勤務体系を⾒直すこと、⼼⾝共にかかる負荷を軽減させるサポート体制の整備などの対策が必要です。⼊社間もない新⼈向けに、教育制度やスキルアップできる環境の構築なども解決策の⼀例となるでしょう。転職市場が活性化するなか、企業は労働者の流動性を⾒据えた労働条件や社内環境の⾒直しを、真剣に考える必要があるといえるでしょう。