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小杉將之税理士事務所

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インボイス制度や改正電帳法 制度開始で何が変わったか

2025.02.17

2023年10⽉からインボイス制度が始まったことに加え、2024年1⽉からは電⼦帳簿保存法が改正されるなど、企業のバックオフィス業務をめぐる状況は⼤きく変化しています。今回は、導⼊から半年以上が経過したこれらの制度について、実態調査の結果を解説します。

インボイスの導⼊により約8割が事務負担増

2023年10⽉から始まったインボイス制度は、正式名称を「適格請求書等保存⽅式」といいます。事業者が消費税を正しく納めるため、消費税の⾦
額などを書いた請求書・領収書など(インボイス)を基に計算する仕組みです。2024年に⽇本・東京商⼯会議所が⾏なった実態調査によると、制度導⼊前に免税業者だった事業者のうち、企業間取引(BtoB)を中⼼に⾏う事業者でインボイス発⾏事業者へ登録した割合は73.3%に達した⼀⽅、消費者向け取引(BtoC)中⼼の事業者の登録割合は24.9%に留まっています。今後の登録意向についても、インボイス発⾏事業者への登録を⾏わなかったBtoB事業者の64.0%が「登録を検討」と回答したのに対し、BtoC事業者の69.5%が「登録申請を⾏わない」としており、事業形態による対応の⼆極化が顕著となっています。なお、インボイス登録を⾒送った主な理由は、新たな事務負担や税負担の発⽣が約半数を占めています。制度導⼊による影響については、約半数が「コスト増あり」、約8割が「事務負担増あり」と回答しています。具体的には、コスト⾯では「既存システムの改修」が32.4%、事務負担では「仕⼊先の登録状況の確認・管理」が66.0%で、それぞれ最も⾼くなっています。現場からは「貴重な時間を奪われている」「税負担と事務負担が⼤きい」という不満の声が上がっています。また、いわゆる「2割特例」が終了した後の事業継続を不安視する声もあり、特例措置の恒久化や拡充を望む意⾒も散⾒されます。⼀⽅で、専⾨家のサポートでスムーズに導⼊できたという声もあり、⽀援の重要性がうかがえます。

改正電⼦帳簿保存法への対応 企業規模で浮き彫りになる格差

⼀⽅で、改正電⼦帳簿保存法の対応状況については、企業規模による明確な差が⾒られます。今回の改正では、帳簿書類を電⼦的に保存する際の⼿続きなどについて抜本的な⾒直しがなされており、2024年1⽉1⽇以後に電⼦取引でやりとりした書類のデータ保存が完全に義務化されました。⽇本・東京商⼯会議所の調査によると、売上規模が⼩さい企業ほど「制度をよく理解できず未対応」の割合が⾼く、⼀⽅、売上規模が⼤きい企業では、「電⼦帳簿保存」や「スキャナ保存」への移⾏が着実に進んでいます。また、改ざん防⽌措置や検索機能の確保といった技術的要件への対応に苦慮している実態も浮かび上がっています。こういった企業規模による対応状況の差は、各企業のバックオフィス業務の体制に関連している可能性が⾼そうです。たとえば、売上⾼1千万円以下の⼩規模事業者では、経理事務について、約3割が「すべて社内で対応」と回答しているほか、約9割が「1⼈で従事」、かつ約8割が「専任の経理事務担当者がいない」としており、新制度の導⼊や制度改正に対応するための社内リソースの捻出がむずかしいことがうかがえます。加えて、事業規模が⼩さくなるほど、請求書や帳簿を⼿書きで作成する割合が⾼く、デジタル化への対応が遅れている現状があります。こういった⼩規模事業者ならではの事情により、⼩規模事業者には電⼦化対応の負荷が特に⼤きくなっている可能性があります。そのため、⼩規模事業者に対する⽀援体制の充実が、今後の課題解決のカギとなりそうです。制度の定着に向けては、きめ細かな⽀援の継続が不可⽋といえるでしょう。


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