インターネット上の仮想空間メタバース ビジネスシーンで役立つ可能性は
仮想と現実をつなぐメタバース ビジネス領域の拡大へ
メタバースとは、インターネット上に構築された多人数参加型の仮想空間のことです。ユーザーは自身の分身となるアバターを使って活動します。仮想空間で物の売買、他者とのコミュニケーション、イベントの開催、街の散策などが可能になり、仮想空間でありながら、メタバース上で購入した商品が後日自宅に届くなど、現実世界と連動したサービスも登場し、最近注目を集めています。当初はオンラインゲームが主流でしたが、最近はビジネスの世界でも、バーチャルオフィスの導入やオンライン会議の実施などで活用されています。似たような言葉に「VR(仮想現実)」がありますが、VRが仮想空間にリアリティや没入感を与えるための「手段」であるのに対し、メタバーズはVR機器がなくても利用することができる点で異なります。そのため、メタバースはVRを包含する概念ともいえるでしょう。メタバースが注目されている背景として、一番にはテクノロジーの進化があげられます。また、デジタル資産であるNFT(非代替トークン)市場の盛り上がりのほか、コロナ禍を経てのニーズの変化も大きいでしょう。コミュニケーションの手段がリアルからバーチャルへと広がり、働き方や交流のあり方に新たな選択肢が生まれています。
新時代の扉を開くか?メタバースが秘めた可能性
メタバースにもメリットとデメリットがあります。メリットは、新たなエンターテインメント体験ができること、世界中の人とリアルタイムでつながれること、ビジネスの可能性が広がることなどです。一方で、なりすましの横行、情報漏洩やデータ改ざんといったセキュリティ面の懸念などのデメリットも存在します。メタバースはビジネスシーンでも活用が進んでおり、アバターを使ったリモート会議では、自宅にいながら仮想空間で同僚とのミーティングが実現できます。バーチャルオフィスに設置されたホワイトボードにアイデアを書き込み、ほかのメンバーと共有することもでき、実際の会議さながらの体験が可能です。また近年では、行政サービスにもメタバースの活用が進みつつあります。東京都江戸川区では、自宅や職場にいながらメタバース空間で相談や手続きが行える「メタバース区役所」の実証実験を、2023年に開始しました。住民は、職員が操作するアバターと音声やチャットでやりとりでき、本格稼働すれば住民の利便性向上や、役所業務のDX化推進にも貢献すると期待されています。メタバースは日常生活だけでなく、ビジネスにも広く応用されており、今後の動向に要注目です。