企業は賃上げの原資をどう生み出すか? 取り組むべき「労働生産性」の向上戦略
賃上げの機運が高まるなか、中小企業は原資確保に苦慮しています。今回は、この課題解決のカギとなる「労働生産性」に注目。データから日本企業の生産性、特に中小企業と大企業の格差をひも解き、付加価値額を高めるための新たな経営の意識転換を考えます。
社員の賃上げに苦悩する中小企業 原資確保のカギは労働生産性向上
現在、社会全体で賃上げの機運が高まる一方、多くの中小企業がその原資確保に頭を悩ませています。この課題を解決するうえで重要なのが「労働生産性」の向上です。
「2025年版中小企業白書・小規模企業白書」によると、日本の労働生産性は、大企業では上昇傾向にあるのに対し、中小企業では約30年前と比較して横ばい、あるいは緩やかに低下しているという明確な格差が存在します。そして、この生産性の差が、大企業と中小企業の賃上げ率の差にも直結しているとみられます。中小企業が持続的な成長を実現し、従業員に適正な賃金を還元するためには、この労働生産性の現状を認識し、具体的な改善策を講じることが急務となっています。
コストカットだけではもはや限界 「付加価値経営」への転換が急務
現在の物価高や人件費上昇に対応するためには、コストカットだけでなく「付加価値額そのものを高める」意識転換が不可欠です。労働生産性向上のカギとなるのは下記の二つです。①「設備投資・デジタル化」による業務の質の変革:人手不足のなか、ITツール導入や設備更新は未来への投資であり、新たな価値創出につながります。②「適切な価格設定・価格転嫁」:製品・サービスの価値を正しく評価し、価格に反映させることで、企業の利益を守り、賃上げの原資を確保します。
厳しい外部環境は変革の好機です。生産性向上は、社員が付加価値の高い仕事に集中できる環境の整備でもあります。まずは自社の強みや顧客価値、そして価格妥当性を見直してみませんか。




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