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小杉將之税理士事務所

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その商標権は主張しても大丈夫? 権利の及ぶ範囲を正確に理解しておく

New 2026.03.23

商標権は自社の商品やサービスを他社と区別して、ブランドを守るためのものですが、申請内容により効力の範囲は限られます。権利者側が範囲を誤認したままだと、権利侵害を主張できない可能性もあります。企業が押さえておくべき商標権の基本について、解説します。

所有した商標権の権利が及ぶのは出願時に指定した範囲に限られる

商標とは、事業者が取り扱う商品・サービスを他社のものと区別するために使用するネーミングやマーク(識別標識)のことです。このネーミングやマークに独占的な使用権を与え、第三者のタダ乗りや無断利用を防ぐのが「商標権」です。
2025年10月、福島県浪江町の商工会は、ご当地グルメの「なみえ焼そば」の普及活動の資金集めのため、商標権に基づき、「なみえ焼そば」を販売する飲食店などに、ロイヤリティ(使用料)の徴収を始めましたが、運用開始から間もなく、商工会は徴収をやめることになりました。専門家などの指摘により「飲食店で提供するメニューには、商工会が保有する商標権の効力が及ばない」という見解が明らかになったためです。
標権の効力が及ばなかった問題を理解するポイントは、商標登録における「指定商品」と「指定役務(サービス)」の区分にあります。商標登録を行う際には必ず「その商標をどのような商品やサービスに使用するのか」を指定する必要があります。これを「指定商品・指定役務」と呼びます。指定商品・指定役務は、特許庁が定めた全45種類の「区分」で分類されており、1類から34類までは「商品(モノ)」に関する区分、35類から45類までは「役務(サービス)」に関する区分です。商標権の効力は、原則として、出願時に指定した区分と商品・役務の範囲にしか及びません。「なみえ焼そば」の商標権の区分は指定商品の30類で、麺などの食品そのものを指します。一方、指定役務である43類の「飲食物の提供」には該当せず、飲食店が提供する焼きそばには、権利を主張できなかったのです。

将来的に実施するビジネスにより必要な区分を選定することが重要

商工会は「30類(商品)」の権利は持っていたが、「43類(飲食物の提供)」の権利を取得していなかった、あるいは権利行使の根拠としていなかったことになります。そのため、麺などの物販に対しては権利を主張できましたが、名称をメニューに載せて料理を提供している飲食店に対しては権利を主張できず、結果としてロイヤリティの徴収を断念せざるを得なくなったのです。
このように、同じ「焼きそば」でも、商標では「持ち帰るモノ」なのか「その場で食べるサービス」なのかによって、明確に区分が分けられており、それぞれ個別に権利を取得していなければ保護されないという厳格なルールが存在します。
今回の騒動から学べるのは、商標登録を行う際には現在の事業内容だけでなく、将来の展開まで見据えて区分を選定することが重要だということです。たとえば、現在は自社ブランドの「お菓子」を製造販売しているだけのメーカーであっても、将来的にそのブランド名を冠した「カフェ」や「直営店」を出店する計画があるのなら、お菓子の区分(30類)だけでなく、飲食物提供の区分(43類)も取得しておくべきです。また、将来的にそのブランドのロゴが入ったおもちゃ(28類)の販売や、オンラインショップでの小売サービス(35類)の展開もあり得るでしょう。商標登録を行う際は、弁理士などの専門家と綿密に相談し、「現在の商品・サービスは何か」だけでなく、「このブランドを使って将来どのようなビジネスに広げていく可能性があるか」という事業戦略の視点から、必要な区分を網羅的に検討することが不可欠です。


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