社内には専門家不在! 「ストレス」の定義とは何?
ストレスチェックの実施義務がある企業の中には、専門知識を持った従業員を雇っていないところもあるでしょう。
今回は、そんな企業向けに、ストレスチェック制度の背景にある基礎知識をお伝えします。
<刺激による「ひずみ」の意味。感じ方には個人差が大きい>
改正労働安全衛生法に基づくストレスチェックは、最低でも年に1回、今年は11月末までに対応する必要があります。
対象となる企業は、産業医の選任義務が課される規模に合わせて、事業所の従業員数が50人以上(契約期間が1年未満の労働者や、労働時間が通常の労働者の所定労働時間の4分の3未満の短時間労働者は義務の対象外)の企業となっています。
従業員が精神障害となった場合に、適切なストレスチェックの実施により事業主が予防のために最大限の努力をしていたと認められれば、高額な補償を支払う等のリスクが軽減される可能性もあります。
「ストレス」とは、そもそもどういったものを指すのかということから説明します。
1.ストレスとは
ストレスとはもとは工学用語で、物体に力が加わったときに生じる「ひずみ」を意味する言葉です。
地震は地殻の「ストレス解放」に起因して起こるということが従来からいわれてきました。これをカナダのハンス・セリエ博士が、医学の領域で用いたのが定着し、現在も使われ続けています。
外部から力や刺激が加わり「ひずみ」をそのままにしておくと、ストレス症状が起きるのです。
2.ストレスの原因
ストレスの原因となるものを、ストレッサーといい、それによって起こる体や心の反応のことを「ストレス反応」と呼びます。
普段はこのストレッサーのことを「ストレス」と呼んでいます。外部からのあらゆる刺激がストレッサーになります。会社事業場では職場の人間関係、欲求不満、失望や挫折などがあります。
3.ストレスの感じ方と症状の現れ方
ストレスの感じ方は人それぞれなので、ストレスに強い人と弱い人がいます。一般に次のような人はストレスに弱いと考えられています。
・何事も完璧にこなそうとする
・几帳面で神経質
・負けずぎらい
・物事にこだわりやすい
・周囲に気を使いすぎる
・柔軟性に乏しい
一方、ストレスに強いのは、マイペース型の人。おおらかで、人目をあまり気にせず、感情をのびのび表現し、気持ちの切り替えも早いといった特性が見られます。
外部から加わるストレスがその人に耐えられる限度を超えてしまうと、心や体にサインが現れます。それは、身体症状、心の症状、行動の症状として現れます。
ストレスに対処するためには、そのサインを早めに発見することが大切です。