退職予定者から賞与の前払いを請求されたらどうすればいい?
賞与の支給日前に退職する従業員から、賞与の前払いを請求されました。どのような対応をすればいいのでしょうか?
(結論)
厚生労働省のモデル就労規則によると、「賞与の支給対象者を『一定の期日(6月1日や12月1日、または賞与支給日)に在籍した者』とする規定を設けることで、期間の途中で退職等をし、その日に在職しない者には支給しないことも可能」となっています。
つまり、支給日に在籍しない場合は賞与付与の対象外にできると考えられます。
賞与の算定方法は、基本給にその当時の状況で決まる係数(何ヵ月)を乗じ、出勤率や成績査定などを加味することが典型とされています。
この算定による賞与は、支給対象期間の勤務に対応する賃金という扱いになります。
賞与には、「『功労報償的な意味』のみならず、『生活補てん的意味』および『将来への労働への意欲向上策』としての意味が込められている」と考えられています。
上記の功労報償的な意味から、支給日在籍要件を「全額不支給でなく、減額支給にとどめる」ことも可能です。
労働基準法25条では「非常時払」について定義されており、以下の要件に当てはまる場合は「既往の労働」に対する賃金支払いが義務付けられています。
・出産
・疾病
・災害
・その他厚生労働省令で定める非常の場合
これらの事由に単なる退職は含まれていません。
賞与と非常時払の関係については、「算定期間を勤務し、一定の金額が算定されているがまだ支払期日が到来していないという場合など、支払うべき賃金が確定しているならば賃金として非常時払の適用を受ける」としたものがあります。
賞与の前払いについて詳細を知りたい方は、お問い合わせください。
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