日本の消費を大きく支えるシニア世代 デジタルツールを操るシニア層に注目
日本の少子高齢化が進むなかで、消費社会をけん引するのはシニア世代であり、もはや無視できない存在であるといってよいでしょう。またシニア層にはデジタルツールが浸透し、実際にうまく活用し購買しています。企業はこの世代にどうアプローチすべきでしょうか。
もうデジタル難民とは言い難い?デジタルを積極活用するシニア層
デジタルシニアとは、スマートフォンやパソコンなどのデジタル機器を使いこなし、インターネットを活用しているシニア世代のことを指します。コロナ禍が一つのきっかけとなり、シニア層にデジタルツールが浸透してきています。総務省の『令和5年通信利用動向調査』によると、モバイル端末の保有率は60歳代で9割以上、70歳代でも8割以上でした。また、インターネット利用状況でも60代で9割以上、70代でも7割以上となり、国民全体の利用率といまや遜色ない状況です。また、コロナ禍以降ネットショッピングを利用するシニア層が増加しており、デジタルシニアが増加している傾向がみてとれます。デジタルシニアに類似する言葉に「アクティブシニア」というものもあります。主体的にさまざまな趣味を楽しむシニア層のことを指し、みずからが楽しむためにいろいろ情報を収集する活発さがあります。情報収集でインターネットを駆使するアクティブシニアはデジタルシニアでもあるといえます。企業は自社の製品やサービスの拡販にあたり、シニア層の動向を踏まえたアプローチを検討することが、売上向上につながるといっても過言ではないでしょう。
オンラインとオフラインの融合でシニアの購買意識を高める効果も
デジタルシニアは高い目的意識をもってインターネットを活用する傾向があります。この世代に対して適切なアプローチを行うには、ニーズを把握することが重要です。このニーズを反映した広告などを展開することで、見込みの高い問い合わせの獲得が期待できます。では、具体的な広告として、どのようなものがあるのでしょうか。代表的かつ効果的な広告の一つに、「リスティング広告」があります。ユーザーが検索したキーワードの内容に関連する広告が検索結果に表示されるため、マッチングの精度が高いというメリットがあります。コロナ禍の影響でネットショッピングでの商品購入に抵抗が少なくなったシニア層が増えており、シニア向け商材は成約しやすくなってきているといえます。また「ディスプレイ広告」という、テキストのほかに画像によるバナーや動画などと一緒に配信される広告は、目に留まりやすく、リスティング広告と比べ単価が低い傾向にあります。より幅広い層にアプローチできるため、商品やサービスの認知度が高まり、購入まで至ることが期待できます。オンラインとオフラインの両方からのアプローチも、シニア層には効果が大きいといわれており、JR東日本の旅行会員誌「大人の休日倶楽部」とWeb広告サービス「JRE Ads」がその一例です。オンライン・オフラインを融合させることで、シニア層を中心に訴求効果が飛躍的に上昇しています。高齢者は「デジタル弱者」から脱却しつつあります。依然として消費者トラブルもあるので注意は必要ですが、シニア層へのアプローチは今や無視できず、検討の余地は大いにあるでしょう。