企業全体の労働時間は前年対比で微増に 労働時間上限規制で業務の抜本的改善を
厚⽣労働省が毎年公表している『毎⽉勤労統計調査』(令和5年分結果確報)によると、コロナ禍後の経済活動の再開もあり、所定内給与額は増加傾向にある⼀⽅で、業種によっては労働時間の増加が懸念されています。上限規制の影響や、課題と対策について解説します。
全体の所定外労働時間は減少 ⻑時間労働が⽬⽴つ業種も
厚⽣労働省の「毎⽉勤労統計調査」(令和5年分結果確報)によると、現⾦給与総額は前年⽐1.2%増の329,778円で、総実労働時間は前年⽐で0.1%の微増でした。就業形態計の所定外労働時間は10.0時間と、前年⽐0.9%の減少で、企業が地道に⾏なってきた、働き⽅改⾰がある程度奏功している様⼦がうかがえます。
業種別では「建設業(164.3時間)」「運輸業、郵便業(167.7時間)」が他業種と⽐べ、総実労働時間が⻑い傾向にあります。これらの業種は以前から⻑時間労働の問題が指摘されており、2024年4⽉1⽇から始まった運送業と建設業、医師の時間外労働の上限規制が、今後どのように影響してくるか注⽬されています。
「時間外労働の上限規制」適⽤が⽣産性向上にどう影響していくか
本調査から、全体ではここ数年で企業の働き⽅改⾰が浸透してきている様⼦が⾒て取れますが、業種によってはまだ⻑時間労働が解消されていません。業務の特性や取引慣⾏から、規制適⽤が猶予されていた業種での時間外労働の上限規制が始まり、物流などへの⽀障が懸念されていた「2024年問題」ですが、企業によっては、AI活⽤による配送の効率化やIT化の推進による残業時間の削減など、業務オペレーションの⾒直しを進めているようです。
国は「上限規制が順守されるよう事業主に助⾔や指導を⾏う」⽅針を⽰しています。この規制により、企業はさらなる⽣産性の向上を推進していく必要があるでしょう。