リース取引の勘定科目は何が適切? 仕訳処理のポイントを解説
ユーザーが設備や機器を直接購入するのではなく、リース会社から借りる仕組みをリース取引といい、リース料を経費として全額計上できるというメリットがあります。今回は、リース取引の種類とそれに応じた仕訳、そして減価償却が可能なケースについて説明します。
リース取引は全部で3種類に分類種類によって仕訳が異なる
リース取引には、大きく「ファイナンス・リース取引」と「オペレーティング・リース取引」の2種類があります。このうち、「ファイナンス・リース取引」は、借り手が資産を分割払いで購入する場合とほとんど変わらないリース取引を指し、「解約不能(リース期間中に中途解約ができない契約)」と「フルペイアウト(借り手が資産の取得や維持などにかかる費用のほとんどを負担する契約)」の2つの条件を満たすものが該当します。
また、「ファイナンス・リース取引」は、リース期間の終了後に所有権移転の有無によって、さらに2種類に分けられ、リース期間終了後に所有権が借り手に移るものを「所有権移転ファイナンス・リース取引」、所有権が借り手に移らないものを「所有権移転外ファイナンス・リース取引」といいます。一方、「オペレーティング・リース取引」は、「ファイナンス・リース取引」以外のリース取引を指し、すべてのリース取引はこれら3種類のいずれかに該当することになります。
リース取引のメリットの一つは、リース料を経費として全額計上できることです。経費計上時の勘定科目は、リース取引の種類によって異なり、「オペレーティング・リース取引」の場合は「リース料」を、「ファイナンス・リース取引」の場合は原則「リース債務」を用います。ただし、「ファイナンス・リース取引」であっても、①借り手が中小企業で、②「所有権移転外ファイナンス・リース取引」に該当し、③そのほかの必要要件を満たす場合には簡便処理が認められ、「オペレーティング・リース取引」と同じように「リース料」での経費計上が可能です。
減価償却できるリース資産は?契約によって償却期間が異なる
リース取引のうち、「ファイナンス・リース取引」に該当する場合は減価償却の対象となります。これは、「ファイナンス・リース取引」の実態が、借り手が資産を分割払いで購入する場合と大差がなく、会計上も売買取引と同様の処理を行うためです。一方、「オペレーティング・リース取引」の場合、「ファイナンス・リース取引」とは異なり、「解約不能」と「フルペイアウト」のいずれか、もしくは両方の条件を満たしていません。そのため、実態としても賃貸借取引とみなされ、減価償却の対象外となります。
「ファイナンス・リース取引」の減価償却を行う場合、「所有権移転ファイナンス・リース取引」と「所有権移転外ファイナンス・リース取引」のどちらに該当するかによって、計算方法が異なります。「所有権移転ファイナンス・リース取引」の場合は、リース期間終了後に所有権が借り手に移るため、自己所有資産と同様に、法定耐用年数を基に減価償却を行います。一方、「所有権移転外ファイナンス・リース取引」の場合は、リース期間を耐用年数(償却期間)として計算します。これは、法定耐用年数とリース期間が異なる可能性があり、その場合は帳簿に未償却の資産が残ってしまうためです。なお、計算方法は異なるものの、仕訳方法自体は「所有権移転ファイナンス・リース取引」と「所有権移転外ファイナンス・リース取引」で違いはありません。
リース取引は種類によって会計処理が異なるなど、慣れていない担当者にとってはむずかしく感じることもあるかもしれません。自社の取引内容を正しく把握し、必要な対応を行いましょう。