寄附金は経費になる?損金算入の可否と処理のポイント
企業が社会貢献活動として寄附を行うことは珍しくありません。税法上の要件を満たせば経費として処理でき、税負担軽減効果も期待できます。しかし、寄附のすべてが損金算入にはなりません。今回は、寄附金の損金算入が認められる条件と、処理時の注意点を解説します。
すべての寄附が経費になるとは限らない
税法上の寄附金には、社会事業団体や政治団体に対する寄附金、神社の祭礼などへの寄贈金、事業に関係のない者に対する金銭贈与など、幅広い支出が含まれます。これらの支出が損金算入できるかどうかは、寄附の相手先、金額、内容によって大きく異なります。法人税における寄附金は、主に以下の4つに区分されます。第一に、国や地方公共団体への寄附金です。これらは公共性が高いため、原則として全額が損金算入可能です。第二に、特定公益増進法人に対する寄附金があります。公益財団法人や認定NPO法人などがこれに該当し、一般の寄附金の損金算入限度額とは別に、特別限度額まで損金算入できます。第三に、指定寄附金があります。これは財務大臣が指定した組織や団体への寄附で、災害支援など公益性の高い目的に対するものが該当し、全額損金算入が認められます。第四に、一般の寄附金があります。上記のいずれにも該当しない寄附金で、損金算入には厳しい制限があります。法人が支出した寄附金は、税法上の規定を満たすと一定額まで損金算入できますが、その限度額は資本金などの額や所得金額に基づいて計算されます。特に一般の寄附金では、「(資本金等の額×当期の月数÷12×2.5/1,000+所得の金額×2.5/100)×1/4」という算式で限度額が決定されるため、専門的な計算が必要となります。そして、限度額を超えた部分は損金不算入となり、法人税の計算上、経費として認められません。
仕訳処理の根拠と帳簿の整備が必要
寄附金の仕訳処理においては、勘定科目を「寄附金」に分類し、目的と対象に応じて適正な使い分けが必要です。たとえば、特定公益増進法人への寄附と一般の寄附金を同じ科目で処理してしまうと、税務申告時に正確な限度額計算ができなくなる可能性があります。また、誤った処理をすると、税務調査で否認されるおそれがあるため、細心の注意が必要です。損金算入限度額の計算に用いる資本金や所得金額は毎期変動する可能性があるため、税務申告時には最新の数値に基づいた正確な計算が求められます。そして、寄附の証拠書類や目的・使途が明記された文書を適切に保存しておくことも重要です。これらの資料は、後の税務調査での説明責任を果たすうえでも不可欠であり、寄附先からの受領証明書や寄附金控除に関する証明書なども含めて、体系的に管理しておく必要があります。実務上の注意点として、寄附先が特定公益増進法人に該当するかどうかの確認が重要です。公益法人であっても、税法上の優遇措置が受けられない場合があるため、事前に国税庁のホームページなどで確認することが望ましいでしょう。また、継続的な寄附を予定している場合は、年度をまたいだ計画的な実施も検討すべき要素の一つです。寄附金の全額が経費になるとは限らず、税法上、損金算入には厳格な制限があります。帳簿や領収書を整備し、合理的な支出であることを証明できる体制の構築が必要です。認定団体への寄附かどうかを確認し、必要に応じて税理士など専門家の助言を受けることで、適切な税務処理と社会貢献活動の両立が可能になります。




![0120-371-910[店舗番号1627]受付時間9:00~17:00(平日)](http://kyotoshimogamo.q-tax.jp/wp-content/themes/qtax_12e3/common/imgs/unit-contact.gif)
