賃上げに取り組む中小企業が活用できる 「賃上げ促進税制」の仕組みと注意点
⼈材の確保と定着を⽬的に、賃上げに取り組む企業が増えています。政府もこうした動きを後押しするため、賃上げを実施した企業の法⼈税負担を軽減する「賃上げ促進税制」を設けました。今回は、この賃上げ促進税制の仕組みと活⽤時の注意点を解説します。
制度の仕組みと適⽤範囲 控除率と上乗せ要件を整理
「賃上げ促進税制」とは、給与等⽀給額を⼀定割合以上引き上げた中⼩企業などに対し、法⼈税額または所得税額から⼀定割合を控除する制度です。⼈⼿不⾜が深刻化するなか、賃上げによる⼈材確保を税制⾯から⽀援する⽬的で設けられました。⼈件費増加の負担を軽減しつつ、従業員の処遇改善を促進する有効な制度といえます。
基本的な要件は、前年度⽐で給与等⽀給額を1.5%以上増加させることです。この場合、増加額の15%が法⼈税額または所得税額から控除されます。さらに、給与総額を2.5%以上増加させた場合、控除率は30%に引き上げられます。
基本控除に加えて、上乗せ措置もあります。教育訓練費が前年度⽐5%以上増加、かつ雇⽤者給与等⽀給額の0.05%以上である場合、税額控除率を10%上乗せできます。また、適⽤事業年度中にくるみん認定、くるみんプラス認定、もしくは、えるぼし認定(2段階⽬以上)を取得、または適⽤事業年度終了時にプラチナくるみん認定、プラチナくるみんプラス認定、もしくはプラチナえるぼし認定を取得している場合、税額控除率を5%上乗せできます。これらを組み合わせることで、最⼤で45%の控除率が適⽤されます。
ただし、税額控除額の上限は、法⼈税額または所得税額の20%までと定められています。また、中⼩企業者や、⻘⾊申告書を提出する個⼈事業主で常時使⽤従業員数1,000⼈以下の場合は、その年度に控除しきれなかった税額控除限度超過額を5年間繰り越すことができます。この繰越制度により、当期の税額が少ない場合でも、将来の税負担軽減に活⽤できる仕組みとなっています。
中⼩企業が活⽤する際に把握しておくべき留意点
賃上げ促進税制の適⽤を受けるには、いくつかの重要な留意点を押さえておく必要があります。
まず、判定の対象は国内雇⽤者に対する給与等であり、控除率は従業員数ではなく給与等⽀給額の前年対⽐で判定します。
対象となる給与等とは、所得税法第28条第1項に規定される給与などが該当し、給料・俸給・賃⾦と呼ばれるもの、および賞与やこれらの性質を有する給与を指します。重要なのは、使⽤⼈兼務役員を含む役員および役員の特殊関係者、個⼈事業主と特殊の関係のある者や退職⾦は対象外となる点です。対象となる給与等を正しく区分しないと、制度を適⽤できない、後から修正申告が必要になるなどの可能性があります。給与等⽀給総額の増減や教育訓練費の実績を正確に把握し、申告時に必要な資料の適切な整備が重要です。
また、税額控除の上限は法⼈税額または所得税額を基準とするため、利益⽔準との関係も重要です。賃上げを実施しても、利益が少なければ賃上げ税制による控除を⼗分に活⽤できない可能性があります。⾚字企業や利益が少ない企業では、控除額が発⽣しないか、繰越制度を利⽤することになります。計画的に賃上げと利益確保を両⽴させる視点が、中⼩企業での活⽤ポイントです。
「賃上げ促進税制」は、⼈材確保と企業成⻑を⽀援する有効な制度です。要件を理解し、利益計画とあわせて制度を活⽤することで、賃上げを単なるコストではなく、⼈材への投資として位置づけることが可能になります。不明点があれば専⾨家に相談しながら、⾃社の状況に合わせて制度を経営戦略に組み込むことが重要です




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