上司の決断力とは?
プロ野球やJリーグなどには、
所属チームを変える「移籍」がある。
チームを変える決断を迫られるのは、
プロ入り後に結果を残せていない選手、
年齢的にピークを越えた選手が多いが、
ときに意外な移籍もある。
チームの中心として活躍し、今後も期待できる実力派が、
いきなり放出されてしまうことがあるのだ。
実績十分の選手ともなれば、チーム内で一目置かれる立場だ。
影響力は大きい。
チームメイトと過ごす時間は監督やコーチより長いため、
年下の選手などに信奉者が広がっていく。
アドバイスを求めた酒席などで、
「自分も同じ悩みを経験した」と肩でも叩かれたら、
若手が抱く先輩への親近感は一気に高まるだろう。
若手の相談役となる先輩社員と、
組織を束ねる上司の関係が良好なら、
組織全体が円滑に動いていく。
スポーツでも企業でも同じだ。
組織の機能不全を招くのは、若手の人望が厚い先輩が、
上司に不満を感じているケースである。
若手の不満に同調するばかりか、
不満を増長させるネガティブなリーダーを放置するのは危険だ。
何らかのトラブルが発生した際に、
自分以外の他者を責める空気が蔓延してしまうからである。
組織としての危機回避能力が、低下してしまうのだ。
ネガティブなリーダーは、
自らの立場を守るために若手の成長を阻害したりもする。
組織そのものを停滞させる行動だ。
会社組織は外部とのつながりによって成立している。
実績を残してきた人材を失うと、
取引先の信頼を損ねるリスクが生じる。
だが、外部に顔の効く組織のエースにも、
新入社員の時期はあった。
育てる風土があれば、
新たな人材は台頭してくる。
ネガティブな性格をのぞかせるリーダーがいたら、
配置転換などの適切な処置をしていくべきだ。
上司の決断は現状維持ではなく、未来志向でなければならない。