好敵手の存在が伸び悩みを打破する
2015.09.28
組織を束ねる者が直面する課題に、部下の伸び悩みがある。将来を期待する若手から「もっと成長したい」という意欲を感じ取れないと、厳しく接してしまいがちだ。
スポーツにおいても、伸び悩みの例は数多い。『10年にひとりの逸材』とか『●×2世』などと騒がれながら、ひっそりとプロの世界を去った選手は、一人や二人ではない。
プロ野球やプロサッカーは、結果がすべてである。「プロ=競争社会=結果責任は本人にあり」といった図式のもとで、評価が下されていく。球団は数字(結果)を残せない選手を解雇し、新しい選手を獲得する。
ビジネスの世界では、そう簡単に割り切れない。社員を育てることに力を尽くし、組織の力を高めていくのが会社というものだ。
では、伸び悩む社員を覚醒させる手立てとは? 配置転換(異動)や転勤はきっかけになる。一方で、新しい環境に慣れるとともに向上心が減退し、仕事のパフォーマンスが落ちてしまうことも考えられる。伸び悩んでいる本人が「もっと成長したい」との意欲を持ち続けない限り、根本的な解決に至らないのだ。
意欲を持続させるために、好敵手の存在は効果的である。プロ野球の田中将大と前田健太、プロゴルフの石川遼と松山英樹、さらにはサッカー日本代表の本田圭佑と長友佑都らは、同い年のライバルだ。互いに認め合う好敵手の活躍は、監督やコーチの叱咤激励を上回るモチベーションとなる。闘争本能を刺激され、向上心が爆発する。
お互いの成果を分かりやすく比較できるように、二人一組で競わせる仕組みを作る。ライバルに勝つ喜びと負ける悔しさを味わうことは、伸び悩む才能が開花するきっかけとなるはずだ