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小杉將之税理士事務所

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「貸倒損失」とは?  税務調査で否認されない処理のコツ

New 2026.09.21

取引先の倒産や長期未回収で売掛金が回収不能となった場合、「貸倒損失」として損金算入できる可能性があります。ただし類型ごとに厳格な要件があり、満たさないまま計上すると税務調査で否認され、追徴課税のリスクもあります。実務担当者向けに要点を解説します。

貸倒損失の基本と計上が認められる3つの要件

取引先が倒産したり、長期間にわたり売掛金や貸付金が回収できなかったりした場合、その金銭債権は「貸倒損失」として損金算入できる場合があります。ただし、「回収がむずかしそうだ」という主観的判断だけでは認められず、法人税基本通達で定められた要件を満たす事実が必要です。
貸倒損失としての計上が認められるのは、主に次の3類型に整理されています。
①法律上の貸倒れ:民事再生法に基づく再生計画の認可決定、会社更生法に基づく更生計画の認可決定、破産手続き終結の決定などにより債権が法的に切り捨てられた場合や、債権者が書面により債務免除を行なった場合などが該当します。切り捨て額や免除額が損金算入対象となります。
②事実上の貸倒れ:債務者の資産状況や支払能力などから、債権の全額が回収できないことが明らかになった場合に認められます。担保がある場合は処分後でなければ計上できず、原則として全額を貸倒損失として計上します。
③形式上の貸倒れ:継続取引のある売掛債権について、取引停止後1年以上が経過し弁済がない場合や、少額債権で取立費用を考慮すると回収が困難な場合などに該当します。この場合、債権額のうち備忘価額として1円を残し、その残額を貸倒損失として計上します。
仕訳は「貸倒損失(借方)/売掛金(貸方)」が基本です。課税売上に係る売掛金が貸倒れた場合は「貸倒れに係る消費税額控除」の対象となり、要件を満たせば申告により課税期間の消費税額から控除できます。控除には、貸倒れの事実を示す書類の保存が必要です。

税務調査で否認されないための証拠書類と実務対応

貸倒損失は、税務調査において否認されやすい項目の一つです。否認理由としては「回収の見込みが薄い」「連絡が取れない」といった状況のみを根拠に計上し、客観的な証拠が伴っていないケースなどがあります。要件を満たした事業年度ではなく、別の事業年度に計上してしまう「計上タイミングのずれ」も否認リスクとなります。事実上の貸倒れは、客観的に見て回収不能が明らかとなった事業年度に計上する必要があります。
形式上の貸倒れでは、備忘価額として1円を残さずに債権額の全額を計上してしまうと、要件を満たさないとして否認されやすくなります。
否認リスクを避けるためには、要件ごとに、必要な証拠書類を日頃から整備しておくことが重要です。具体的には以下のような書類が該当します。
・法律上の貸倒れ:裁判所からの更生計画認可決定書、再生計画認可決定書、破産手続き終結の決定通知書など、法的な手続きの事実を示す書類を保管します。
・事実上の貸倒れ:取引先の閉鎖事項証明書、督促の履歴(内容証明郵便による督促状の控え、電話や訪問の記録など)、信用調査会社の調査報告書など、客観的な事実を裏付ける資料を残します。
・形式上の貸倒れ:取引停止の日がわかる請求書や元帳、督促の履歴(内容証明郵便による督促状の控え、電話や訪問の記録など)、1年以上弁済がないことを示す入金台帳などを保管します。
要件・計上時期・証拠書類の3要素がそろって初めて、税務上の損金として認められます。実務上、判断がむずかしい場合は、計上前に専門家へ相談し、要件充足を確認することが重要です。


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