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小杉將之税理士事務所

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社宅制度で損をしないために 課税対象になる境界線と実務対応

New 2026.05.18

社宅制度は、企業が従業員に住居を貸与する福利厚生の一つです。適切に活用すれば双方にメリットがありますが、家賃設定や契約を誤ると給与課税となることがあります。今回は社宅制度の基本と、実務対応について解説します。

「賃貸料相当額」がカギ 社宅制度の基本とは

社宅とは、法人が不動産オーナーと契約した住居を、従業員に貸与する福利厚生制度です。住宅手当を現金で支給する場合とは異なり、一定の要件を満たした社宅は、従業員に対する給与課税の対象とならない点が特徴です。寮・社宅制度は、1993年には全国で200万戸超に達していました。その後、自社保有の社宅は減少していましたが、近年、民間物件を借り上げる「借り上げ社宅」を中心に再び増加に転じています。
社宅が給与として課税されないための重要なポイントは、従業員から徴収する家賃額です。国税庁の取扱いでは、従業員が負担する家賃が「賃貸料相当額以上」である場合、その社宅の貸与は給与として課税されません。この「賃貸料相当額」とは、実際の家賃相場ではなく、国税庁が定める算定方法に基づいて計算される金額を指します。
具体的には、その年度の建物や敷地の固定資産税の課税標準額や、その建物の総床面積などを基に算出します。なお、役員と従業員では計算式が異なるため注意が必要です。
企業が従業員から徴収する家賃が、この賃貸料相当額以上であれば、社宅の提供は福利厚生として扱われ、所得税の課税対象とはなりません。一方で、徴収額が賃貸料相当額を下回る場合、その差額については「給与」とみなされ、所得税が課税されることになります。たとえば、賃貸料相当額が1万円と算定された社宅で、従業員から6,000円を徴収している場合、差額の4,000円が給与として課税されます。社宅制度を活用する際には、家賃設定がこの基準を満たしているかを慎重に確認する必要があります。

住宅手当との違いは?導入時の注意点と運用リスク

税務上の観点から見ると、社宅制度は住宅手当を現金で支給する場合と比べて大きなメリットがあります。住宅手当は、その全額が給与として扱われ、所得税や社会保険料の算定基礎に含まれます。一方、社宅として住居を貸与し一定の要件を満たしていれば、給与課税の対象とならず、従業員の実質的な可処分所得を維持しやすくなります。企業側も、社宅に関する費用を福利厚生費として経費計上できる点は、メリットといえるでしょう。
ただし、社宅制度の導入・運用にあたっては、注意すべき実務上のポイントがあります。まず、社宅として認められるためには、原則、賃貸借契約を法人名義で締結している必要があります。経営者個人名義で契約した住居を従業員に貸与している場合、社宅としての取扱いが否認されるおそれがあります。また、社内規程の整備も重要です。社宅の入居条件や家賃の算定方法、申請・退去の手続きなどを明確に定めておかないと、税務調査の際に制度の妥当性を説明できず、否認リスクが高まる可能性があります。加えて、所得税の取扱いに問題がない場合でも、社会保険においては「現物給与」として都道府県ごとに定められた価額で評価され、標準報酬月額に含まれる可能性があるため、事前に制度全体の影響を確認しておくことが望ましいでしょう。
社宅制度は、正しく設計・運用すれば、企業と従業員の双方にとって有効な福利厚生制度となります。その一方で、家賃設定や契約形態を誤ると、思わぬ課税リスクを招くことにもなりかねません。導入や見直しを行う際には、税務ルールを正確に把握し、慎重に対応することが不可欠です。


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