令和8年度税制改正大綱 押さえておきたい改正のポイント
令和7年12月に閣議決定された「令和8年度税制改正大綱」には、個人事業主や中小企業に直結する制度の延長や期限到来が盛り込まれています。少額減価償却の特例延長やインボイス制度の特例終了など、実務に影響を与えるポイントを解説します。
個人事業主に関わる主な改正のポイント
令和7年12月、「令和8年度税制改正大綱」が閣議決定されました。令和9年分以後の青色申告特別控除の見直しなど、個人事業主から法人まで幅広い見直しが盛り込まれています。
まず、個人事業主の税務に関わる改正で注目なのは、青色申告特別控除の見直しです。令和9年分の所得税から控除体系が再編され、現行の55万円控除は廃止され、確定申告書や貸借対照表、損益計算書等を期限内にe-Taxで提出することを要件として、65万円へ引き上げられます。さらに、この要件を満たし、仕訳帳や総勘定元帳を電子帳簿保存法に基づき保存する場合は、控除額が75万円となります。一方、紙で申告する場合は65万円および75万円控除の要件を満たせず、10万円控除の対象となります。10万円控除は、前々年分の不動産所得または事業所得の収入金額が1,000万円を超える場合は対象外となります。
インボイス制度でも、個人事業主に関わる改正が予定されています。現行の「2割特例」は令和8年9月30日が属する課税期間で終了しますが、その後、個人事業者については令和9・10年分の消費税の確定申告で、納付税額を売上税額の3割とする「3割特例」が設けられます。主な対象は、インボイス発行事業者の登録により免税事業者から課税事業者となった、基準期間の課税売上高が1,000万円以下の個人事業主です。免税事業者等からの仕入れに係る経過措置も見直され、適用期限が2年延長されます。令和8年10月以降は70%、令和10年10月以降は50%、令和12年10月以降は30%を控除できる段階的な措置となり、令和13年10月以降は控除できなくなる予定です。
中小企業税制と電子帳簿保存法の動向
中小企業の設備投資に関する改正も行われます。中小企業者等が取得した一定の少額資産を全額経費として処理できる「少額減価償却資産の特例」について、その上限額が30万円未満から40万円未満に引き上げられる予定になっています。パソコンや業務用機器なども対象になりやすくなり、設備投資を進めやすくなる改正といえるでしょう。これは、物価上昇に伴う設備価格の高騰を踏まえた見直しともいえるでしょう。なお、適用期限は令和11年3月31日までとされており、対象となる中小企業者等は常時使用する従業員数が400人以下である点に注意が必要です。
次に、青色申告75万円控除の要件である電子帳簿保存等についても確認しておきましょう。これは、電子帳簿保存法が定める要件に沿って、仕訳帳や総勘定元帳などを電磁的記録として保存することなどを指します。特に、訂正・削除履歴の保存、帳簿間の相互関連性、検索機能の確保などが重要なポイントとなります。青色申告特別控除の改正と電子帳簿保存法の要件は密接に関連しており、対応した会計ソフトへの移行状況が、受けられる控除額に直結します。現在も紙ベースで帳簿管理を行なっている場合は、早めにシステムや運用体制の見直しを進めることが重要です。
今回の税制改正はデジタル化への対応を促す内容が目立ちます。特に、青色申告・インボイス制度・中小企業税制のいずれにおいても、早期のデジタル対応が実務上重要となる改正内容が盛り込
まれています。自社の経理・申告体制が改正後の要件を満たしているかどうか、確認しておきましょう。





