「口コミ収集」や「事例掲載」に潜む 顧客情報を販促に活用する法的リスク
企業のWebサイトなどに掲載する「お客様の声」は、消費者にとって商品を選ぶ際の目安になります。しかし、この元となる顧客情報には、氏名や住所などが含まれることもあります。法令に抵触しないためにも、顧客情報を販促に活用する際の法的リスクを理解しましょう。
「お客様の声」活用の有用性と法令に沿った個人情報保護の原則
商品やサービスを実際に利用した顧客からの感想や意見を自社のWebサイトやパンフレット、広告などに掲載することは、とても効果的なマーケティング手法の一つです。なぜなら、企業が発信するメッセージよりも、実際に利用した第三者の意見のほうが、これから購入を検討している見込客にとって、より信頼できる判断材料になるからです。さらに、顧客からの意見はサービス改善や新商品開発のヒントにもなります。
見込客の購買意欲を高め、自社のサービス改善にも役立つ「お客様の声」ですが、企業が取り扱ううえでは、さまざまな法的リスクがあることを理解しておく必要があります。その代表的なリスクが個人情報保護法への抵触です。お客様の声を集める際、顧客の氏名、年齢、住所、メールアドレスなどもあわせて取得することが一般的です。これらの情報は、特定の個人を識別できる情報であるため、法律上の個人情報に該当します。取得した個人情報は適切な安全管理措置を講じて、厳重に管理しなければいけません。万一、顧客の個人情報が外部に漏えいしてしまった場合、企業の信用失墜だけでなく、個人情報保護法違反として行政指導や罰則の対象となる可能性もあります。
また、個人情報を取得する際には、利用目的と範囲を明確にし、顧客から同意を得ることが原則です。「商品開発の参考にのみ使用する」という目的で集めたアンケート結果を、顧客に無断で自社のWebサイトに「お客様の声」として掲載することは個人情報保護法に違反する可能性があります。トラブルを避けるためにも、必ずメールや署名などの形で掲載許可を取りましょう。
第三者提供の注意点と顧客の権利 肖像権・著作権に関するリスク
ケースによっては、収集した個人情報を業務委託先などの第三者へ提供する場合もあるかもしれません。その際も原則として本人の事前の同意が必要となります。また、個人情報保護法によって、顧客本人には、自分の情報について開示、訂正、追加、削除、利用停止などを請求する権利が保障されています。企業はこうした請求があった場合、適切に対応する義務があります。
そして、「お客様の声」を活用する際のリスクは、個人情報保護法だけではありません。たとえば、お客様から商品を使用している様子の写真を提供してもらい、それをWebサイトに掲載する場合です。もし、その写真に第三者の顔が写り込んでいた場合、そのまま掲載してしまうと、第三者の肖像権やプライバシー権を侵害してしまうことになります。掲載前に写真を細かく確認し、顔など、個人が特定できるような情報が写り込んでいる場合は、ぼかし加工を入れるなどの措置を行いましょう。
また、レビューサイトなどに書き込まれた自社商品についてのコメントを無断でコピーして、自社のWebサイトに掲載することも避けましょう。SNSなどに投稿されるような短い文章であれば、著作権法違反になる可能性は低いですが、レビューサイトに投稿されるような、ある程度の長さがあって投稿者の思想や感情が表現された文章であれば、断りなく使用してしまうと、著作権法違反になることがあります。
今後、「お客様の声」などを自社のWebサイトへ掲載する場合は、法令を遵守したルールづくりと、運用体制の整備から始めていきましょう。





